3月19日さいたま地裁「日陰の規制不適合で建築確認取消」判決の続報

 このいBlogの3月20日の項で紹介した通り、さいたま新都心東口ソフトバンクデータセンターの建築確認が日陰規制不適合のため、さいたま地裁が3月19日に取り消しを判決しました。
 建築問題の専門サイト=日経BPケンプラッツが、3月27日にこの判決について記しました。
 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140325/656476/Link

 多数の自治体で採用されている日影の算定方式(「発散方式(拡散方式)」)による建築確認が取り消されたわけですが、以下の疑問が兆(きざ)します。

 この方式について、関係者は20年ほどもの間、建設省(当時)からの「通達」として自治体に発せられたものと信じていたわけですが、
①「通達」として出された記録はなく、
②正式な書類事態が確認できず、
③発信者の氏名や日付も不明で、
④担当者の個人的な判断で通達に添えられた文書と思われる
そうです。
 それなのに、自治体がそれに異議を唱えることもなく、法解釈として20年以上採用されていたというのです。

 当時「通達」を出したはずの部署に居た建設省のOBは、さいたま地方裁判所に出した意見書のなかで、当時そのような議論は省内では行われず、法律の趣旨からも外れていると陳べています。
 裁判所はそれを採用したのだろうということです。

 今回否定された「発散方式(拡散方式)」と一般的な方法(「閉鎖方式」)との差は10分ほどのようですが、開発業者に都合が良い方法ということであれば、このように何の根拠もない解釈が20年間も通用していたという事実に驚くばかりです。

 すでに「通達」という制度自体が廃止されてしまったわけですが、「通達」そのものは生きていて私たちの生活・権利を縛り続けてきたわけです。
 官僚が個人的な判断で書き加えたものが、法律と同じように運用されていたことにも驚きを禁じ得ません。

 まったく推理小説を地で往くようなミステリーが示すものは、日本が「法治国家」であるのか否かという疑問であるのかも知れません。

— posted by 神原 at 04:01 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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神原卓志(かんばらたくし)です。
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